『チ。―地球の運動について―』を一気読みした感想|漫画で震えたのは久しぶりでした
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今年の1月の終わり、『チ。―地球の運動について―』の第1集を買いました。そして翌日には残りの7集をすべて買っていました。全8集、完結済み。数日で一気読みです。読み終えたあと、しばらく本を閉じたまま動けませんでした。漫画でここまで震えたのは、本当に久しぶりです。
どんな漫画か(ネタバレなしの範囲で)
舞台は15世紀のヨーロッパ「風」の世界。天動説が絶対の真理とされ、それに反する説を唱えることは異端——つまり、命に関わる罪とされていた時代です。
そんな世界で、「地球のほうが動いているのではないか」という地動説の美しさに魅入られてしまった人々が、迫害されると分かっていながら研究をやめられない。その姿を描いた群像劇です。
主人公は、神童と呼ばれる少年から始まります。ただ、この作品の面白いところは、章が変わると主人公も変わること。地動説という「バトン」が、時代を越えて人から人へ受け継がれていく構成になっています。この構成の妙は、ぜひ実際にページをめくって味わってほしい部分です。
「知への渇望」に胸を掴まれる
この作品を貫いているのは、「知りたい」という欲求は止められないというテーマだと私は受け取りました。
命の危険があるのに、なぜ調べてしまうのか。なぜ計算してしまうのか。登場人物たちは決して聖人ではなく、迷い、怯え、ときに逃げようとします。それでも夜空を見上げてしまう。その姿に、理屈抜きで胸を掴まれました。
もうひとつのテーマが信念と犠牲です。自分の一生では完成しないと分かっているものに、それでも人生を懸けられるか。読みながら何度も「自分ならどうするだろう」と考えさせられました。重いテーマなのに説教臭くないのは、キャラクターたちの感情が徹底して生身だからだと思います。
タイトルの「チ。」に込められた意味
読み終えてから気づいたのですが、タイトルの「チ」には複数の意味が重ねられています。地動説の「地」、知性の「知」、そして流される「血」。読み進めるほどに、この一文字と句点の「。」の重みが増していきます。読了後にもう一度表紙を眺めると、タイトルの見え方が変わっているはずです。
作者は魚豊さん。本作はアニメ化もされた話題作なので、タイトルだけは知っていたという方も多いと思います。私もその一人でしたが、「話題作だから」と後回しにしていたことを心底後悔しました。
全8集で完結済み、というありがたさ
個人的に大きかったのが、全8集で完結していることです。長期連載を追う体力がない身としては、「この週末で最後まで読み切れる」と分かっているのは本当にありがたい。物語も8集ぶんの密度できっちり畳まれていて、引き延ばしとは無縁です。
一気読みできる環境を作ってから読み始めることを、心からおすすめします。私のように途中でやめられなくなるので。
まとめ:後回しにしている人ほど読んでほしい
派手なバトルも恋愛もありません。それでも、ページをめくる手が止まらない。「知りたい」という人間の根源的な欲求を、これほど熱く描いた漫画を私は他に知りません。
最近は大人の財力にものを言わせて漫画をまとめ買いすることが増えました。そのあたりの散財記録は 大人になってから大人買いした漫画たち にまとめているので、漫画好きの方はそちらもどうぞ。